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ととあんと暖簾のお話

先代は愛した京都に学び、お茶の文化に恋して、いつか故郷尾道で美味しいお茶を提供できるお店を作りたい。そんな熱い思いが形になったのが「ととあん」です。千利休の茶室「魚魚庵」から名前を頂いて、かわいらしい“兔(うさぎ)”としてお店の名前になっています。

先代から私がお店と思いを引き継ぎ、もう長くなります。長く使って痛んできた暖簾を新しく作り直そうと思い立ち、いろんな方に相談をしていたところ、尾道の向島で「海色空色工房」という染の工房を構える染色家の梅阪尚美さんに出会うことができました。瀬戸内海に浮かぶ向島で、天然灰汁発酵建て本藍染や、尾道で採れた原料を使って草木染めをされています。

その昔、尾道は海の物流で賑わい柿渋や藍染が盛んだったのですが、戦後の産業の変革が進む中で今そうした姿がみられることもなく消えてしまったと…、そう思っていたんです。新しい才能が芽吹いていて、土地の力を活かした本物の藍染液を生きた菌の力で建てる。そうして染めを行っていることに感動。 彼女の技と姿勢に一目惚れしてお願いしたところ、ととあんの “ のれん ” を作ってもらうことが叶いました。

「海色空色工房」の染色家 梅阪さんに暖簾の本藍染めを依頼しました。

白い布を天然灰汁発酵建ての染料に浸けると、最初は茶色っぽく染まった布の色が、空気に触れてだんだんと青くなっていきます。何度も染料に浸けることで、この青色の濃さを調節していきます。できあがったのは本藍染のしまなみブルーの暖簾 。中心の白い丸は月が昇ってくるイメージ。ととあんにぴったりの暖簾になりました。

本藍染ならではのやさしい色合い

店内にあるメニューにもこのデザインが使われています。うさぎが山から満月を眺めているイメージ。ふたりは月を見ながら愛を語らっているのでしょうか。

浮かび上がる満月と、ととあんのウサギをモチーフに

染色家 梅阪 尚美さん「海色空色工房」ウェブサイトはこちら
https://umiirosorairo.jimdo.com/